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アンティークガラスとは何か|手吹きガラスと機械ガラスの違い

手吹きのガラスは筒に吹いて切り開いて作るため、厚みにむらがあり気泡が残ります。工業製品としては欠陥ですが、ステンドグラスではそのすべてが価値になります。機械ガラスとの違いを整理しました。

「アンティークガラス」という言葉は、二つの意味で使われています。混同されやすいので、先に整理いたします。

ひとつは製法の名前です。人が息で吹いて作る板ガラスのことを、いまでもアンティークガラスと呼びます。これは新しく作られたものでも、そう呼ばれます。

もうひとつは、文字どおり年代物のガラスです。100年以上前に作られ、実際に建物で使われてきたもの。私どもが扱う英国ヴィクトリア時代のものは、こちらにあたります。

どちらも手吹きですので、性質は共通しています。違うのは、そこに時間が入っているかどうかです。

筒に吹いて、切り開いて、平らにする

手吹きの板ガラスは、平らな型に流し込むのではありません。まず筒状に吹きます。

溶けたガラスを竿の先につけ、息を吹き込んで細長い袋のように膨らませる。両端を切り落として筒にし、縦に切れ目を入れる。それを炉に入れて、開いて平らにする。この工程を経て、一枚の板になります。

人の手と息で作りますので、厚みは均一になりません。薄いところと厚いところができ、吹いたときの流れが筋として残り、空気が抜けきらずに気泡が閉じ込められます。

工業製品として見れば、これらはすべて欠陥です。ステンドグラスにとっては、そのすべてが価値になります。

むらがあるから、光が動く

いま一般に流通している板ガラスは、溶けた金属の上にガラスを浮かべて作ります。どこを切っても同じ厚み、同じ透明度です。窓ガラスとしては理想的な性能です。

ところがステンドグラスに使うと、面が死にます。均一ということは、どこを見ても同じということだからです。光が通っても、そこに何も起こりません。

手吹きのガラスは違います。厚いところは光をゆっくり通して色を濃く出し、薄いところは素通しに近くなる。一枚のガラスのなかに、濃淡が生まれます。気泡は光を散らし、流れの筋は視線を導きます。

そして決定的なのは、見る角度で表情が変わることです。立ち位置を少し変えるだけで、同じガラスが違って見えます。平らな板ガラスでは起こりません。写真では、この差がほとんど伝わりません。実物を動きながら見ていただくほかない部分です。

回して作る円形の手吹きガラスについてはロンデルガラスとは何かにまとめております。

色は、塗ってあるのではありません

よくいただくご質問にお答えします。ステンドグラスの色は、ガラスそのものに入っています。表面に塗料を塗ったものではありません。

溶かす段階で金属の酸化物を混ぜ、ガラス自体を着色します。銅で緑や青、コバルトで濃い青、金で赤。どの成分をどれだけ入れるかで色が決まります。

ですから日に当たり続けても退色しません。100年前のガラスがいまも同じ色をしているのは、そのためです。カーテンや壁紙のように、日焼けを心配していただく必要はございません。

ただし、絵付けが施されたガラスは別です。こちらは表面の層ですので、研磨剤などで削れば消えます。お手入れの注意点はステンドグラスのお手入れにまとめております。

同じものが、二度と手に入らない

ここが、実務上もっとも大きな制約です。

手吹きのガラスは一枚ずつ違います。同じ工房の同じ色番号でも、吹いた日が違えば表情が変わります。まして100年前に作られ、いま製造されていないガラスは、割れれば補充がききません。

これは設計の順序を変えます。図案を先に決めてからガラスを探すのではなく、手元にあるガラスを見てから、それが最も生きる図案を考えることがあります。「このガラスがあるから、この構成にする」という組み立て方です。

修復の場面でも同じことが起こります。一枚だけ割れた場合、まったく同じガラスは手に入りません。近い表情のガラスを探し、周囲との釣り合いで判断することになります。

古い家に、古いガラスが馴染む理由

これは実務ではなく、私どもの実感です。

英国ヴィクトリア時代のアンティークガラスを新しい家に納めると、そこだけ時間の層が違って見えることがあります。ところが40年、50年と使われてきた家に納めると、不思議と馴染みます。

柱の色、建具の艶、床の摩耗。すでにその家が持っている時間と、ガラスの持つ時間が釣り合うからだと思っております。古い家への納め方は築40年の家に、ステンドグラスを入れるときにまとめております。

逆に新築であれば、色や表情の穏やかなガラスのほうが合うこともあります。古ければ良い、ということではございません。その空間が持っている時間に合わせて選びます。

実物を見ていただくのが早いです

ここまで文章で書いてまいりましたが、厚みのむらも、気泡も、角度による変化も、写真では伝わりません。京都のアトリエで実物をご覧いただけます。現場に出ていることがございますので、ご来店前にご一報いただけると確実です。

ガラスの選び方を含めたご相談はご相談・お見積もりより承っております。設置できる場所と工法の全体像はステンドグラスの設置場所と工法にまとめております。

FAQ

よくあるご質問

相談前に図面は必要ですか?

図面がある場合は、建具寸法、平面図、立面図をご共有ください。図面が未確定の場合でも、参考写真や設置予定場所の寸法をもとに初期相談が可能です。

アトリエの見学は予約が必要ですか?

いいえ、完全予約制ではございません。定休日以外は営業しております。

ただ、現場や打ち合わせで留守にしていることがございます。ご来店の前にご一報いただけると確実です。お電話でもメールでも構いません。

アトリエでは、制作中のもの、ガラスの在庫、英国ヴィクトリア時代のアンティークの実物をご覧いただけます。

寺社仏閣の案件も相談できますか?

可能です。空間の歴史性や光の入り方を踏まえ、慎重に計画します。

Case Studies

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