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欄間にステンドグラスを入れる|廊下と玄関ホールが変わる理由

欄間は、家のなかでステンドグラスがもっとも自然に納まる場所です。人が触れない高さにあり、目隠しを考えなくてよく、窓の取れない廊下や玄関ホールに光を分けられます。

マンションのリビング上部に並ぶ3連の欄間ステンドグラス。泡状の型板ガラスを地に、緑と黄の曲線と赤い雫を組み合わせたアール・ヌーヴォー調の意匠を配している

家のなかで、ステンドグラスがもっとも自然に納まる場所はどこか。そう聞かれたら、私どもは欄間と答えます。

欄間(らんま)は、鴨居と天井の間にある開口です。日本の住まいが古くから持っていた採光と通風の仕掛けで、いまも多くの家に残っています。ここがステンドグラスに向く理由は、意匠の好みとは別のところにあります。

人が触れない高さにある

これが最大の理由です。

ドアや腰高窓のステンドグラスでは、人が触れる、ぶつかる、物が当たるという前提で設計します。ガラスの厚みを確保し、割れにくい構成を選び、場合によっては強化ガラスを組み合わせます。その制約が、意匠にも及びます。

欄間には、それがありません。手が届かない高さにあるため、細い線も、小さなガラス片も、そのまま使えます。繊細な意匠を追いたい場合、欄間は最も自由な場所です。

階段室の欄間に納めたステンドグラス。木枠のなかに、黄色い花と渦巻く葉を絵付けしたヴィクトリア調の意匠を、ピンクと緑の色ガラスで囲んで構成している
階段室の欄間。手の届かない高さなので、細い線と小さなガラス片をそのまま使える。

目隠しを考えなくていい

もうひとつ、設計が軽くなる理由があります。視線の高さより上にあることです。

窓のステンドグラスでは、「外から見えないように」という要望がほぼ必ず入ります。透過性の低いガラスを視線の高さに配し、上部を抜く、といった調整が必要になります。光を採りたいのに、遮りもしたい。この二つを両立させるのが窓の設計です。

欄間では、その必要がありません。誰も欄間から覗きません。ですから純粋に「どういう光を通したいか」だけで決められます。透明度の高いアンティークガラスも、大胆な色も、遠慮なく使えます。

窓の取れない場所に、光を分けられる

欄間がある場所を思い浮かべてください。多くは廊下、玄関ホール、階段まわりです。

これらは、家のなかで最も窓を取りにくい場所です。外壁に面していなかったり、面していても隣家が迫っていたりします。だからこそ昔の家は、隣室の光を分けてもらう仕掛けとして欄間を設けました。

ここにステンドグラスを納めると、もともと通っていた光に、色がつきます。暗かった通り道が、時間帯によって表情を変える場所になります。新しく窓を開けるわけではないので、工事も大きくなりません。

光は高い位置から入り、壁や天井を伝って部屋の奥まで届きます。窓の光が床を照らすのに対して、欄間の光は空間全体の明度を上げます。

玄関ホールの欄間に納めた3枚組のステンドグラス。木枠の格子に質感の異なる型板ガラスを並べ、中央のパネルに赤いバラと緑の葉、両側のパネル中央に緑のロンデルガラスを配している
玄関ホールの欄間。中央に一点だけ強いモチーフを置くと、横長の面が締まる。

横長という、扱いやすい形

欄間は横に長い開口です。この比率が、実は設計しやすい形です。

縦長の面では、上下の流れをどう作るかが課題になります。横長では、中心に一点、強いものを置くだけで面が締まります。私どもがロンデルガラス(回して作る円形の手吹きガラス)を欄間の中心に配することが多いのは、この性質を使うためです。

ロンデルについてはロンデルガラスとは何かにまとめております。実例は京都府 玄関ホールの欄間ステンドグラスでご覧いただけます。

いまの欄間を外すかどうか

古い家の欄間には、彫刻や組子が入っていることがあります。ここは判断が要ります。

状態が良く、意匠として成立しているものは、残すことをお勧めしております。職人の手仕事であり、いま同じものを作れば相応の費用がかかります。その場合は、別の欄間や、隣の開口をご提案します。

一方、すでに傷んでいるもの、後から入れられた既製の面材、単なるガラスがはまっているだけのものであれば、入れ替える価値は十分にあります。外した組子は保管していただけます。将来戻すことも可能です。

どちらか迷われる場合は、写真を拝見してご意見を申し上げます。無理にお勧めすることはございません。

欄間がない家では

いまの住宅には、欄間がないことのほうが多くなりました。天井高が抑えられ、建具が天井まで届く設計が増えたためです。

その場合、同じ効果を狙える場所として室内窓があります。廊下と居室の間の壁に開口を設け、そこにステンドグラスを納める。欄間ほど高い位置ではありませんが、隣室の光を分けるという考え方は同じです。

すでに室内窓がある場合は、開口にステンドグラスを直接納められます。外気に面しませんので、結露も断熱も考える必要がなく、ガラスの選択が自由になります。くわしくは既設の窓へのステンドグラス取り付けをご覧ください。

まずは、見上げた写真を一枚

欄間の正面と、枠の納まりが分かる写真を各一枚。いまの欄間を活かせるか、寸法はどれくらいか、どんな構成が向くかをご返答いたします。採寸は不要です。

欄間の考え方はステンドグラスの欄間に、設置できる場所の全体像はステンドグラスの設置場所と工法にまとめております。まずはご相談・お見積もりより、お気軽にお声がけください。

FAQ

よくあるご質問

相談前に図面は必要ですか?

図面がある場合は、建具寸法、平面図、立面図をご共有ください。図面が未確定の場合でも、参考写真や設置予定場所の寸法をもとに初期相談が可能です。

アトリエの見学は予約が必要ですか?

いいえ、完全予約制ではございません。定休日以外は営業しております。

ただ、現場や打ち合わせで留守にしていることがございます。ご来店の前にご一報いただけると確実です。お電話でもメールでも構いません。

アトリエでは、制作中のもの、ガラスの在庫、英国ヴィクトリア時代のアンティークの実物をご覧いただけます。

寺社仏閣の案件も相談できますか?

可能です。空間の歴史性や光の入り方を踏まえ、慎重に計画します。

Case Studies

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