TOSHI Stained Glass Design

後付け施工

「新築のときに入れておけばよかった」——ご相談で最も多くうかがう言葉です。実際には、すでにお住まいの住まいにステンドグラスを納めることは、多くの場合できます。壁を壊す必要はございませんし、大がかりな工事にもなりません。

ただし「できる、できない」は住まいの構造によって決まります。このページでは、何が判断を分けるのか、費用はどう変わるのか、そしてお受けできないのはどのような場合かを、包み隠さず書きました。ご自宅が当てはまるかどうか、読みながらお確かめください。

「うちにも付けられますか」に、先にお答えします

結論から申しますと、既存住宅への後付けは可能です。当スタジオの施工の多くは、新築ではなくすでにお住まいの住まいへの後付けです。マンションでも、築年数が経った戸建てでも実績がございます。可否を分けるのは、次の三点だけです。

一つめは、ガラスを押さえている部材が外せるかどうか。多くの建具や窓枠では、ガラスは「押縁(おしぶち)」という細い枠で固定されています。これがネジや釘で留まっていれば、外してガラスを入れ替えられます。二つめは、納める奥行きがあるかどうか。ステンドグラスは一般的な板ガラスより厚くなりますので、溝の深さが足りない場合は、後述する室内側に重ねる方法に切り替えます。三つめは、その開口部がご自身の判断で変更できる部分かどうか。マンションの外部に面する窓や玄関ドアは、多くの場合が共用部分にあたり、所有者であっても変更できません。

この三点は、お写真を一、二枚拝見すればほぼ判断できます。寸法を測っていただく必要も、図面をご用意いただく必要もございません。

納め方は三つ。どれになるかで費用が変わります

一.押縁を外して、ガラスを入れ替える

いま入っているガラスを取り外し、同じ位置にステンドグラスを納める方法です。仕上がりが最もすっきりし、はじめからそうであったように見えます。室内ドア、室内窓、欄間、FIX窓の多くはこの方法が使えます。元のガラスは撤去いたしますが、すりガラスや型板ガラスであっても、ステンドグラス自体が視線を遮りますので、機能が失われることはございません。

二.既存のガラスを残し、室内側にパネルを重ねる

いまのガラスはそのままに、室内側にステンドグラスのパネルを取り付ける方法です。一見すると簡易な方法に見えますが、実際にはこちらを積極的にお勧めする場面が多くございます。

外気に面する窓では、単板のステンドグラスを直接外気に面させると冬季に結露いたしますが、既存ガラスを残せばその間の空気層が緩衝になります。賃貸や、将来的に原状回復が必要な場合も、取り外して元に戻せる納まりにできることがございます。溝の奥行きが足りず一の方法が構造的に難しいときの代替にもなります。

「元のガラスを外さないと本格的ではない」ということはございません。光の見え方は一とほとんど変わりません。

三.建具ごと交換する

ドアや窓の枠ごと新しく製作して入れ替える方法です。費用は最も高くなりますが、ガラスの面積や框(かまち)の寸法から設計できるため、意匠の自由度は比較になりません。既存の建具が傷んでいる場合や、そもそも開口部にガラスが入っていない無垢の板戸などの場合は、この方法が唯一の選択肢になります。

一.入れ替え二.重ねる三.建具交換
費用標準抑えやすい最も高い
見た目最もすっきりやや厚みが出る最もすっきり
断熱・結露条件による有利設計で対応
原状回復元ガラス保管で可比較的容易建具保管が必要
向く開口部室内ドア・欄間・室内窓外部に面する窓傷んだ建具

場所ごとの可否

室内ドア。最も後付けしやすい場所です。共用部分の制約がなく、外気にも面さないため、三つの工法すべてが選べます。廊下が暗い、リビングの気配だけ伝えたい、といったご相談の多くはここに行き着きます。詳しくはステンドグラスドアをご覧ください。

玄関まわり。戸建ての玄関ドアは、ドア本体が既製のアルミサッシである場合、ガラスの入れ替えがメーカー保証の対象外になることがございます。この場合はドア上部のFIX窓(欄間)や袖窓に納める方法をご提案しております。玄関の印象は、ドア本体だけでなく、その周囲の光で決まります。

窓。FIX窓(開かない窓)は後付けに向いております。引違い窓の場合、障子(動く部分)に納めますと重量が増して開閉が重くなりますので、二の室内側パネルをお勧めすることが多くなります。既設窓への具体的な納め方は既設の窓へのステンドグラス取り付けに、窓の種類ごとの意匠はステンドグラスの窓にまとめております。

欄間・室内窓。視線が抜けすぎる、あるいは光が足りない——その両方を一度に解けるのが欄間と室内窓です。和室の欄間は既存の建具を活かせることが多く、後付けの効果が最も分かりやすい場所のひとつです。欄間もあわせてご覧ください。

マンション。室内側の開口部であれば問題なく施工できます。室内ドア、室内窓、間仕切りが対象です。一方、外部に面する窓(サッシ)と玄関ドアは共用部分にあたることがほとんどで、施工できません。お客様の所有物であっても管理組合の管轄となるため、例外は少ないとお考えください。マンションでご検討の場合、まず対象を室内に絞ってご相談いただくとお話が早く進みます。

写真一枚で、ここまで分かります

採寸も図面も不要です。次の二枚をお送りいただければ、工法と概算をご返答いたします。一枚めは正面から。ドアや窓の全体が入るように、閉めた状態で撮ってください。二枚めはガラスの縁に寄って。斜めから、ガラスと枠の境目が写るように。ここに押縁があるかどうかが写ります。判定の要になる部分です。

この二枚から、こちらでは押縁の有無と留め方(ネジか、釘か、接着か)、建具の種類(框戸かフラッシュ戸か)、ガラスの厚み、開口のおおよその寸法比率、周囲の内装との色や素材の関係を読み取っております。建具の種類の見分け方は框戸とフラッシュ戸の見分け方で詳しく解説しておりますので、ご自身でお確かめいただくこともできます。

「素人写真で申し訳ない」とおっしゃる方が多いのですが、スマートフォンで十分です。むしろ加工されていないお写真のほうが、正確に判断できます。

正直にお伝えします。お受けできない場合

ここを書かない同業が多いのですが、先にお伝えするほうが誠実だと考えております。ご相談いただいてからお断りするのは、お互いにとって良いことではございません。

マンションの外部サッシ・玄関ドア。共用部分にあたるため施工できません。管理規約をご確認いただく以前の問題として、構造上も外部サッシは加工に適しません。

防火設備に指定されている開口部。防火地域・準防火地域では、開口部に防火性能が求められる場合がございます。網入りガラスが入っている窓は、その可能性がございます。この場合、ガラスを一般のステンドグラスに入れ替えますと建築基準法上の性能を満たさなくなるおそれがございます。該当しそうな場合は、既存のガラスをそのまま残す二の「室内側に重ねる」方法であれば、もとの開口部の仕様に手を加えないため対応できることが多くなります。まずはご相談ください。なお、網入りガラスかどうかは、ガラスをよく見れば細い金属の線が格子状に見えますので判断できます。お写真を送っていただければ、こちらでも確認いたします。

ガラスが接着で固定されている建具。押縁がなく、ガラスがシーリング材で直接固定されているものは、取り外す際に建具を破損するおそれがあるため、一の方法はお受けできません。二または三をご検討いただくことになります。

原状回復が厳格に求められる賃貸。取り外して完全に元へ戻せる納まりをご提案できる場合もございますが、最終的な判断は貸主様との取り決めによります。施工前に必ずご確認ください。当スタジオから貸主様へ工法をご説明する資料をお出しすることは可能です。

費用と工期の目安

後付けの費用は、ステンドグラス本体と取り付け工事に分かれます。下表は本体価格の目安です。

内訳費用の目安何で決まるか
ステンドグラス本体20〜80万円面積、デザイン、ガラスの種類
取り付け工事別途現地までの距離、作業の難易度
付帯工事必要に応じてガラス押えの製作、ドアのくり抜きなど

取り付け工事費は別途となります。二の「室内側に重ねる」方法は工事が軽微なため、一や三より工事費を抑えられる傾向がございます。工期は、デザインが決定してから二週間ほどが目安です。取り付け作業自体は、一箇所であれば半日から一日で完了いたします。お住まいのまま施工できますので、仮住まいは不要です。お支払いは、ご契約時に約五十パーセント、納品時に残金を申し受けております。詳しくは価格をご覧ください。

後付けについて、よくいただくご質問

工事中は家に住めますか。
はい、お住まいのままで施工できます。取り付け作業は一箇所あたり半日から一日程度です。大がかりな養生や、壁を壊すような工事はいたしません。

築年数が古い家でも大丈夫ですか。
問題ございません。むしろ古い建具は框戸であることが多く、押縁が外しやすいため後付けに向いております。建具の状態はお写真で確認いたします。

賃貸住宅でも設置できますか。
取り外して元に戻せる納まりをご提案できる場合がございます。ただし最終的な可否は貸主様との取り決めによりますので、事前にご確認ください。ご希望があれば、工法を説明する資料をお出しいたします。

元のガラスは戻せますか。
一の入れ替え方式の場合、取り外した元のガラスは保管していただけます。将来的に原状回復が必要になった際、再度取り付けることが可能です。破損しないよう保管方法をご案内いたします。

断熱性能が下がりませんか。
既存のガラスを残したまま、室内側にステンドグラスを重ねる方法であれば、いまの窓の性能はそのままです。間に空気の層ができますので、結露も起こりにくくなります。

ご相談から設置まで

正面から一枚、ガラスの縁に寄って一枚。お送りいただければ、一の入れ替え、二の重ねる、三の建具交換のどれになるか、そして概算までお答えできます。採寸も図面も不要です。制作の各工程については制作の流れに、古いステンドグラスの補修については修理・修復にまとめております。まずはご相談・お見積もりより、お気軽にお声がけください。

FAQ

よくあるご質問

相談前に図面は必要ですか?

図面がある場合は、建具寸法、平面図、立面図をご共有ください。図面が未確定の場合でも、参考写真や設置予定場所の寸法をもとに初期相談が可能です。

アトリエの見学は予約が必要ですか?

いいえ、完全予約制ではございません。定休日以外は営業しております。

ただ、現場や打ち合わせで留守にしていることがございます。ご来店の前にご一報いただけると確実です。お電話でもメールでも構いません。

アトリエでは、制作中のもの、ガラスの在庫、英国ヴィクトリア時代のアンティークの実物をご覧いただけます。

寺社仏閣の案件も相談できますか?

可能です。空間の歴史性や光の入り方を踏まえ、慎重に計画します。

Case Studies

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