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ステンドグラスの色は、窓の方角で決まる|東西南北の光の違い

同じガラスでも、北の窓と西の窓ではまったく違って見えます。方角ごとの光の性質と、それに合わせた色と濃淡の決め方を、設計する立場から整理しました。

「何色がいいでしょうか」——最初にいただくご質問の多くが、これです。

ただ、私どもはその場でお答えいたしません。先にうかがうのは、その窓がどちらを向いているかです。同じ青いガラスでも、北の窓と西の窓ではまったく別のものに見えます。色は好みで決めるものではなく、そこに届く光に合わせて決めるものだと考えております。

北の窓|一日中、ほとんど変わらない光

北向きの窓に、直射日光はほとんど入りません。入ってくるのは空全体から回り込んでくる光です。

この光には、大きな特徴があります。一日を通して、明るさも色味もほとんど変わりません。朝も昼も夕方も、同じ表情です。画家のアトリエが北向きを好むのは、この安定した光のためです。

ですので北の窓では、濃い色を置いても暗くなりすぎません。むしろ、薄い色ばかりで構成すると平板に見えます。深い青や緑を面のなかに配して、光量の少なさを色の深さに置き換えるという考え方をします。厚みのあるアンティークガラスもよく合います。

「北の部屋は暗いから、明るい色で」と考えたくなりますが、実際には逆のことが起こります。薄い色は、弱い光のもとでは色として立ち上がりません。

南の窓|強すぎる光を、どう和らげるか

南向きは、一日でもっとも長く日が当たります。設計の課題は「明るくすること」ではなく、強い光をどう扱うかになります。

直射日光が当たったステンドグラスは、想像より鮮やかに発色します。色ガラスを詰め込みすぎると、色が飽和して落ち着かない面になります。南では、透過性の高いガラスや、色を持たないテクスチャーのガラスの割合を増やすことが多くなります。

もうひとつ、南の窓には特有の楽しみがあります。床や壁に、色のついた光が落ちることです。時間とともに、その形がゆっくり動きます。この落ちる光を主役にするなら、面の下半分に濃い色を置き、上を抜くという構成もあります。窓を見るのではなく、窓が作る光を見るという設計です。

東の窓|朝だけの、短い時間

東向きの窓に直射日光が入るのは、朝のうちだけです。昼を過ぎれば、北向きに近い穏やかな光になります。

ここで大切になるのが、その時間に、その部屋に人がいるかどうかです。寝室や洗面、朝食をとるダイニングであれば、朝の数十分のために設計する価値があります。朝の光は色温度が低く、黄色や琥珀色のガラスがよく映えます。

逆に、日中は誰もいない部屋の東窓であれば、朝の一瞬に賭けるより、一日を通して安定して見える構成を選んだほうが満足度は高くなります。方角だけでなく、暮らし方とあわせて決めるところです。

西の窓|夕方に一度だけ、劇的に変わる

西日は、住宅では嫌われがちです。まぶしく、夏は暑い。ところがステンドグラスにとって、西の窓はもっとも劇的な場所でもあります。

夕方の光は、低い角度から入ります。窓を真正面から射抜くように届くため、面全体が一斉に光ります。しかも光そのものがオレンジ寄りですから、赤や琥珀のガラスは燃えるように、青や緑は沈んだ深い色に転びます。日中とはまったく別の顔になります。

設計では、この「夕方の顔」と「日中の顔」の両方を検討します。夕方に合わせすぎると日中がぼんやりし、日中に合わせすぎると夕方に色が濁ります。どちらを主にするかは、その部屋で過ごす時間で決めます。

まぶしさが気になる西窓では、視線の高さに濃い色を置いて光を絞り、上部を抜くという方法もあります。目に入る光の量を減らしながら、明るさは保てます。

方角だけでは、決まりません

ここまで方角ごとに書いてまいりましたが、実際にはこれだけでは決まりません。同じ南向きでも、条件によって届く光はまるで違います。

隣家との距離。すぐ隣に建物が迫っていれば、南向きでも直射は入りません。むしろ北向きに近い光になります。

室内側の明るさ。ステンドグラスは、外が明るく室内が暗いときにもっとも色が立ちます。室内に別の大きな窓があると、色は弱く見えます。

見る時間帯。その部屋にいるのが夜だけであれば、昼の光の話はあまり意味を持ちません。夜は室内側から照明で照らされることになり、見え方が反転します。

私どもが図案を先に決めないのは、このためです。方角、日射、隣家との距離、室内側の明るさ、外からの見え方。それを読み取ってからでなければ、ガラスも図案も決められません。

写真と、向きだけ教えてください

ご相談の際は、窓の写真と一緒に「どちらを向いた窓か」をお知らせください。だいたいの方角で結構です。スマートフォンの地図アプリでもすぐ分かります。

できれば、その部屋にいる時間帯もお聞かせください。朝が長いのか、夜が長いのか。それだけで、ご提案の方向がはっきりします。

窓ごとの考え方はステンドグラスの窓に、いまの窓への納め方は既設の窓へのステンドグラス取り付けにまとめております。まずはご相談・お見積もりより、お気軽にお声がけください。

FAQ

よくあるご質問

相談前に図面は必要ですか?

図面がある場合は、建具寸法、平面図、立面図をご共有ください。図面が未確定の場合でも、参考写真や設置予定場所の寸法をもとに初期相談が可能です。

アトリエの見学は予約が必要ですか?

いいえ、完全予約制ではございません。定休日以外は営業しております。

ただ、現場や打ち合わせで留守にしていることがございます。ご来店の前にご一報いただけると確実です。お電話でもメールでも構いません。

アトリエでは、制作中のもの、ガラスの在庫、英国ヴィクトリア時代のアンティークの実物をご覧いただけます。

寺社仏閣の案件も相談できますか?

可能です。空間の歴史性や光の入り方を踏まえ、慎重に計画します。

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